2012年03月16日

疑わしきは被告人の利益

大阪市平野区で母子が殺害された事件の差し戻し審で
被告人に無罪判決がでました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120316-00000508-san-soci

この被告人、状況証拠では黒です。

@アリバイがない。
借金の連帯保証人であるのに連絡無く転居していた被害者の夫を探し回っていたとのことですが、
どこに寄っていたか具体的に説明できないなんて、ちょっと変ですよね。
「あそこで聞き込みした」とか「あそこで張り込んでいた」とか言えるはずです。
聞き込みで当たりをつけて平野区に来ていたのですから、
直接乗り込んだって考える方が自然な気がします。

A事件の推定時刻頃、携帯電話の電源を切っていた
人を捜し回っていた人間が携帯の電源を切っている合理的な説明は出来ませんね。
しかも午後5時〜午後11時。電源が切れているのに気付かなかったというには長すぎます。

B被害者に横恋慕してた。
告白文やらメモやらそのものずばりの証拠が出てきてます。

C目撃証言がある
現場近くで良く似た人物や車の目撃証言があるようです。

D行ったこともないと主張している被害者のマンションの間取り(カーテンの色等)を正確に知っている。しかも事件当日に移動したソファの位置まで。
(当日の朝出かけた夫もソファの移動を知らなかったため、ソファの移動は犯人しか知り得ない)

E行ったこともないと主張している現場マンションの踊り場灰皿から
容疑者のDNA型の唾液が付いた煙草の吸い殻が発見された。
ただし茶色く変色しており、事件当日のものかは判断が分かれる。
これが唯一の物的証拠だったわけです。

弁護側はこの吸い殻は被告から預かっていた携帯灰皿の中身を、
被害者がマンション踊り場の灰皿に捨てたモノであると主張。
だから灰皿内の72本の吸い殻の内、被害者が吸っていた銘柄マルボロライトが4本含まれていましたが、それが被害者の吸い殻であれば、それは携帯灰皿の中身を捨てたモノであるということになり、容疑者がマンションに行っていない証拠となると主張しました。
そこでEの証拠をめぐって審理が差し戻されたわけですが
しかしここで捜査側に大ミス。
容疑者の吸い殻以外の吸い殻71本を廃棄しちゃってた・・・
弁護側は「無罪立証の機会を奪われた」と攻撃。

で、結局「疑わしきは被告人の利益に」ってことで無罪判決がでたわけです。

しかし、そもそもマンションの踊り場灰皿に被害者が携帯灰皿の中身を捨てたところで、
容疑者が事件当日現場を「訪れていない証拠」にはなりません。
また容疑者が預けた携帯灰皿の中身を捨てたのだとしたら、
なぜ容疑者のDNA型が1本・被害者の銘柄が4本なのでしょう。本数に違和感があります。
長期に預けるとき(貸すとき)自分の吸い殻が入ったままにしますかね?
またその灰皿内の4本が被害者の吸い殻であると証明されても、
別に容疑者が現場を「訪れていない証拠」にはならないはずです。
同時に捨てられたモノであるという証拠は逆に何処にあるのでしょう。
「携帯灰皿を預けた」ということと
「現場にあった灰皿の吸い殻に容疑者と被害者の吸い殻があった」ということは、
実際には全く結びつかないからです。
つまり元々Eの件は、証拠紛失がなかったとしても、
容疑者の無罪を立証することなど出来ないのです。

またDの件は、実は犯人しか知り得ない「秘密の暴露」です。
ところが弁護側の意見は
「犯人と疑われている被告が、自ら進んで秘密の暴露をするだろうか」です。

物盗りにみせかけたり、性的乱暴を装ったりといった行為は、
逆に物盗りや性的な目的ではない犯行を疑わせます。
「真犯人は別にいる」これが弁護側の意見です。
でもじゃあどんな真犯人像があるんでしょうか。

「疑わしきは被告人の利益に」は大事なことです。
でも一方で私は拷問を伴わない「黙秘権」は被告人の権利とすべきではないと思います。
自分の不利になる証言をしなくても良いという権利、果たして必要でしょうか?
真犯人でないなら、不利な証言など無いはずです。
犯人でありながら、自分を守るために証言を拒否する権利。
そんな権利が果たして本当に万民に平等に与えられるべきだと思いますか?

この被告人は差し戻し審で被告人質問をパス。
つまり「黙秘」しました。
真犯人でないなら、何を「黙秘」するのでしょうか?
状況証拠がこの被告を犯人だとすべきものである可能性は、
最高裁が差し戻す際にも反対意見として添えられています。
だからこそ高裁で死刑判決がでたわけです。

Eの証拠に審理が集中した感のある差し戻し審。
上記のようにEは元々無罪が立証されるものではありません。
しかしそのEの件の捜査側のミスが弁護側によりクローズアップされたのは
「法廷戦術」であると言うしかないでしょう。
その戦術が導いた「無罪」だとしたら、「真実」はいったい何処にあるんでしょう。
posted by ○もと at 08:54| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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